シリウス 正義のために闘う一羽の蝶に贈る

PezibearによるPixabayからの画像

「今日は、星がきれいに見えるな。」

「あぁ、オリオンがくっきり見えるな。」

「お前は、昔シリウスが好きだって言ってたよな。天球上で1番明るい星やってな。」

「あぁ、そんなこと言ってたな。」

「今のお前も輝いてるな。」

「輝いてる?・・・危ない輝きだけどな。」

「お前の守ろうとしているのは、俺もわかるけど・・・そんなに一生懸命にならなあかんもんなんか。」

「あぁ、命がけでもな。」

「命がけって・・・なんでそこまでセナあかんのや。お前の守ろうとしてる宝物って、そうまでセナあかんのか。」

「彼らは、宝物の本当の力を知らない。知らないから、力づくでもつぶそうとするのさ。彼らには、不要なものだからな。・・・お前は、それを知ってる。知りすぎているから、その大事さを忘れてしまってるのさ。」

「でも、お前がしなくても誰かがするやろ。宝物を守る前にお前自身を守るべきやろ、違うか? お前自身があってこそ、お前の思いが大切になるんちゃうか。」

「その誰かが、俺やってことさ。」

「正直な話、お前のことが心配やねん。危ない目にあってんのやろ。」

「確かにな。でも、彼らが俺の生き死にを握ってるんじゃない、俺を生かすも殺すもできるのは・・・・友だよ。」

「・・・」

「別に、お前を責めてるんじゃない。けど、それが真実なんだよ。」

「・・・そうだな・・・俺に、何ができるんやろ。」

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

「それにしても、オリオンが大きいな。昔はもっと小さかったような気がしたけどな。」

「そうやな・・・北極星はどれやったっけ。」

「忘れたな。」

「俺も北極星みたいに不動になりたいよな。」

「・・そうか。でも、不動じゃないだろ。宇宙は膨張してるんだろ、もしかしたら反対方向へ動いてるかもしれないじゃないか。・・・みんな、見ようとしないから、見えないんだよ。」

「・・・」

「そろそろ時間だ、もう行くよ。」

「そうか、気を付けてな。」

「それじゃあ。」

その声が、遠くスマホの中に消えていった。

Kalle H.によるPixabayからの画像

あいつは、戦いの中へと向かって行った。

俺は、ベランダでビール片手に星を眺め続けた。

俺は、何ができるというんだよ。

遠く離れたあいつに。

何もできない、なにも。

どうすることもできないんだよ。

眺めていることしか出来ないんだよ。

・・・仕方ないんだよ。

でも、

嫌だ。

出来る。

出来る。

出来る。

出来るんや。

そう、

出来るんや。

まずは、俺を克服してやる。

俺は、おおいぬ座になりたい。

シリウスを内包する・・・

dom1706によるPixabayからの画像

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